徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 68

ページ: 68

翻刻

斯て双方(そうはう)互(たが)ひに入乱れ一足も引じ と喰合けるが作右衛門は聞ゆる勇将なれば 只一疋敵中へ馳入〳〵噛殺(はみころ)し勇をは 震ふて戦ひけり金(きん)の鶏斯と見るより 馳来り名乗かけ喰合しが作右衛門は 大狸也然も強力なれば難(なん)なく 金の鶏を喰倒し猶も敵中へ 馳入ける禁長是を見て小鷹は 居ぬか熊鷹は何国にある早く 参りて親(おや)の敵作右衛門を討とれよと 呼(よは)はる声を聞と早小鷹はいつさんに 馳来り作右衛門を目がけ名乗けるはヤア 〳〵作右衛門逃る事なかれなんしが為 に殺されし藤樹寺鷹が伜 小鷹熊鷹也尋常に勝負せよ と申ければ作右衛門あざ笑ひ汝(なんじ)等如 きの小狸に逃(にげ)る様な作右衛門ならず 己(おのれ)が親の鷹さへも一 噛(かみ)になし