徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 69

ページ: 69

翻刻

たる某なるぞ近寄て二ツとなき 命を失ふ事なかれと言さま小 鷹にとびかゝる小鷹は得たりと引 はづし双方聞ゆる剛力なれば 上(うえ)へなり下になり組(くん)づ転(ころ)んづ 喰(くい)ひあふ作右衛門は年経し古(ふる)狸也 こなたは血気の狸なるうへ親の敵 を討んと思ふ一心こつたる事なれば いつ果(はつ)べきとも見へざりけり熊 鷹は最前より作右衛門の後へ廻り 透を見て飛かゝり後足(うしろあし)を引 くわへ力に任せて引ずりけれは作 右衛門大ひに怒(いか)り後へむかんとする 所を小鷹すかさず飛込で首(くび) 筋へ喰付一ふり二たふり振ければ さしもの作右衛門大ひに弱(よは)り無念 〳〵と白歯をむき吼(ほへ)うなるを兄弟 得たり乗かゝり手足(てあし)肩(かた)尻(しり)嫌(きら)