翻刻
なく喰切り噛(かみ)さき難なく喰殺
しければ兄弟大に喜ひ死骸(しかい)を
どふど蹴倒(けたを)し大音に名乗けるは
津田方にて剛の者と呼(よば)れし川嶋
の作右衛門をば藤樹寺小鷹熊鷹
が討取たりと呼わりけれは津田方は
大ひに力を落しけり禁長は小鷹
熊鷹を呼で賞美しけり此
時六右衛門は九左衛門子■■【真黒?】を引連
敵に当りむらがる狸を大太刀
抜て突殺し切倒し荒廻る
にぞ此刀の下に命を落すもの
多たりといふ数をしらず熊鷹此
体を見て是こそ敵将六右衛門なら
ん出で討取て高名せんと壱疋(いちひき)
馳出小石を投かけはせよりければ
六右衛門大ひに怒り推参なりと