徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 71

ページ: 71

翻刻

いゝさま彼太刀にて突懸りしが ど?も熊鷹は飛鳥か如く馳違ひ透 を見ては打かゝへる大石にさしもの六 右衛門あしらひ兼跡をも見ずして 逃行を熊鷹は大ひにいかりさゝへる 狸を喰殺し〳〵何国までもと 追かけしに六右衛門は向ふの森へ 逃入たり熊鷹も供に追かけ 彼森に這入(はいり)けれはふしきや六 右衛門は見へず四方はぼう〳〵たる墓(はか)原 なり扨こそ敵の謀事に落入たり いて引返さんとする所忽(たちま)ち四方八 面(めん)ゟ 六右衛門が手下顕はれ出大石小石を雨 のふるごとく打かけしかば熊鷹も今 は詮方なく最早我命も是迄なり 父の敵は討取たり此世に思ひ置事 なしと莞尓(につこ)と笑(わら)ひ其侭に舌喰切(したくひきり) て死したりけるはゆゝしかりける有様(ありさま)