徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 73

ページ: 73

翻刻

爰の所を聞分て早〳〵山の上へ登(のほ)り 味方の勝 敗(はい)を見物有べしと事 をわけて言ければ小鷹は大ひに驚き 泪(なみだ)を流しこは思ひよらぬ事を承(うけたま)り はるものかな日開野を打出しより 死生存亡を君と供にすべしと 思ひしに君の討死を余処(よそ)に見 て我のみ命全ふせよとは御 情(なさけ)なし 此儀は外人へ命(め)じ下(くだ)さるべしと 中〳〵承知せされば禁長のいわく 足下の言ふ所一利ありといへども悉(ことごとく) 道に違へり其故は我打死して 其跡を継(つぐ)者なき時は是一ツの恥(ちしよく) なりまして大恩請し大和様へ 御恩も送らず相 果(はて)なば禁長こそ 誠らしく言ひしが皆偽なりと 死後の恥辱を残すべし爰の 所を聞分て早くも峠に登り