徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 83

ページ: 83

翻刻

て引倒す院元大ひに怒(いか)り振り返り 又四五疋を只一歯に喰殺し八兵衛 目がけ懸寄る所何国ともなく大石 飛来り院元か眉見にあたりこ殊(こと)の外 やふれしゆへ血(ち)流て両 眼(かん)に入働 く(く) 事能ず引返さんとする所八兵衛の手 下雨あられの如く小石を打かけしかば 憐むべし院元は石にて急所を討(う) たれ是も同(おな)しく死失(しにうせ)たり八兵衛は 味方の助けにてよお〳〵命を助かり 起(おき)上りしが最前の疵痛み強く 一足も歩行(あゆむ)事 能(あた)わず終に其 侭(まゝ)倒(たを) れける手下の者 等(ら)大ひに歎(なげ)き死骸を あたりへ葬りける爰に衛門三郎は九左衛門 を相手にして追つか帰へしつ戦ひ しが勇将の院元おやまら討死せ しかば大ひに力(ちから)を落しさらば 我も討死(うちじに)して名を後世に残(のこ)さん