徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 85

ページ: 85

翻刻

未だ百計の勢あり何卒爰をのが れて穴観音へ帰り六右衛門と一所に敵 を防(ふせ)かんと思案(しあん)し味方をはげまし 戦ふたり衛門方は皆討死と極めた れば少しも猶予の気色なく敵(てき) 陣へ飛込〳〵大将士卒のきらいなく かみ伏くい伏あれ廻る中にも衛門三郎 は年経る狸なれば飛鳥の如く馳廻り かみ殺し是か為に命を落す者 何疋いふ数を知らず今は敵方にも 討死し或は落行残るは大将九左衛門 一人なり衛門三郎大ひに悦びかけ ゆけば九左衛門大ひに驚き松原さして 逃行を衛門三郎追かけながら大音に 呼ばりければ九左衛門も此言葉にや恥た りけん取て帰し衛門三郎に飛懸 る心得たりと白眼あひ双方透を見 合けるが衛門三郎は勝浦尋にて一二を