徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 86

ページ: 86

翻刻

争(あらそ)ふ強の者九左衛門は六右衛門方にて鬼神 と呼はれし者なれば院元に喰合 陽に組合うなり叫(さけ)ぶ声は山海も 轟(とゝろ)くばかり也衛門三郎叶わぬ体 をなし浜辺をさして逃行を九左衛門 は大ひに怒り己広言にも似合ぬひ けう者と一さんに追懸る衛門三郎は 仕済したりと逃ながら透を伺ひ 振り返り九左衛門は不意を討れ引はず さんともがけとも大力の衛門三郎に喰(くは) へられ動く事能わずたぢろく所を 衛門三郎は得たりかしこしと打倒し 其上に乗懸り手足頭のきらひなく 喰付しかば九左衛門勇也といえとも数ヶ 所の疵付られ終には此所にて討れける 衛門三郎は大ひに悦び立帰らんとせしが 数所の疵を受しと今朝よりの戦ひ に身体 労(つか)れしが今九左衛門を討し