徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 90

ページ: 90

翻刻

申ける田の浦太左衛門が曰く六右衛門 汝いか程 隠(かく)るゝとも最早斯取巻し上は逃(のが) れぬ所也なま中逃れんとして死(しに) 恥を見せんより心能勝負せよ斯(かく) 言ふ我は南方の押へたる田浦太左衛門 也と声(こへ〳〵)に呼わりけるにぞ六右衛門も今は 叶わぬ所と覚悟を究 彼(かの)太大刀(おふだち) を抜(ぬき)もちて打てかゝる金禁長得たりと 懸向ひ抜ツ潜(くら)りつ秘術を尽(つく)し 戦ひけるが子鹿子は六右衛門の後へ廻り 透を見て飛込六右衛門か足をくわへ て引倒 (たを)せば禁長 透(すか)さず立懸るを 六右衛門 転(ころ)ひながら太刀取のべて禁長 か肩先(かたさき)三寸ばかり切 込(こみ)ければ禁長大 驚きたじろく所を太左衛門かけより 禁長をかこふていいどみける子鷹は其侭 飛しざり六右衛門に組付たり其ひまに 禁長は■(おど)り上て大石をなげ付ければ