徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 91

ページ: 91

翻刻

六右衛門の脊骨(せほね)に当りうんといふて倒(たを)れ るを太左衛門立寄て太刀をばいとり前(まへ) 足(あし)を切落し(せば)小鷹小鹿子は石にて 頭を打 砕(くだ)く禁長は彼太刀を小 鹿子に渡し早く夫の敵を討取(うちとれ)よ と下知しければ小鹿子 嘻(うれ)【嬉ヵ】しくたちよる立 寄ていかに六右衛門今こそ思ひしりし かというざま止めをさしければ禁長 は首打落しあら嬉しや本望 やと悦び勇み立上りしが気のゆるみに やかつはと伏(ふせ)は太左衛門立寄て気を励(はげ) ましゑへ言甲斐なし禁長き ずは浅 疵(きず)也心を慥に持べしと小鷹 も供に介抱しける禁長は即正気づき 太左衛門 等(ら)に迎ひ我疵口浅しと覚へ共 身心甚たたへ難し此懸りにては所詮 存生(そんぜう)叶ひ難(かた)し最早六右衛門は討取外 に望みなしと又もや絶(たへ)いらんとする