翻刻
を太左衛門引起し気を励(はげ)ましか
はどの手疵を苦にする事甚た愚(ぐ)
知也早〳〵日開野へ帰在して保養
すべしと禁長を小鷹の脊(せ)にくゝ
り付小鹿子に介抱させ太左衛門は先に
立しづ〳〵と道(みち)ををあゆみ日開野
さして帰りける
評に曰く此六右衛門か持し太刀【先年観音へ】奉納
有し太刀也是盗み取て所持せ
しと也また此処にてそふ〴〵しく
折〳〵泣きさけぶ声(こへ)せしと也
是等は近在の人能しる所也疑(うた)が
ふ事なかれ【〇:ここから本編に戻るの意ヵ】扨も禁長日開野へ
帰り専(もつ)ら養生(やうぜう)しけれども疵口
へ風入り殊之外痛みしゆへ
今は存命も叶ひがたしと
思ひ太左衛門を招き涙wを流し
申けるは我 計(はか)らずも貴公の加