翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

天竺儲之筋 / 市場通笑作 - 翻刻

天竺儲之筋 / 市場通笑作 - ページ 13

ページ: 13

翻刻

【かすれ・汚れ別資料で補う】 らいふうの二じん【雷風の二神】大かねもふけを するといふ事ほくとのほし【北斗の星】 きゝ給ひはくんせい【破軍星】のうち 一じん【一人】かちきやうしにあたり【?】 給ひらいふうしん【雷風神】のかたへ 来り給ひさて〳〵 おみたち【御身たち】はふらちせん ばんないたしかた□たい これまでわがまゝ ふりたいときは【降りたい時は】 いつまても ふつて人に あきはて られのらを こくときはやたてりにて せふもふ□□かゝつては【せふもふけにかゝつては】 てうほう□と【だと】 いわれ          ては このほうども まてかいふんか わるい【この方共まで(私達まで)外聞が悪い】 ごじつの かせに【期日の風?】 じうしつのあめか【終日の雨が?】 おさたまり それが そのほう たちか やくしや ここく しやう しゆ【五穀成就? コマ15にもあり】にとり おさめ させさへそれは ほかに なみたちのやういなくらくなものじや 事に きんきんはこくとのたからそれを【金銀は国土の宝、それを】 こつちへ しよしめてとらのかわのふんとしを どん すのまわしとおこ?りをつけても しよせん小の川谷風と いふおちもとられす よくしん【欲心】をやめ もふけたのは あつちへかへして しまつたりと おほしさまなとゝ いふものはてんても くつとうへにおいて なされはすこしも くもりかすみもなく あなをいつてきあつけ【?】 あふら【油?】をとりたまへは らいふうしん【雷風神】いちこんも【一言も】 なくいかさまふうきてんに有 なんのふそくもないにいかい たわけなてきこゝろと【出来心】 あやまりいる 【お星さまの台詞】 〽二人とも したいても【下ぃ(へ)でも】 おろされては【下ろされては】 つまるまい   【雷神・風神の台詞】 はい 〳〵 〳〵 おさよふ    て ご さり ます へい 〳〵 〳〵 【破軍星:北斗七星の柄杓の柄の先端の星と言われるが、ここでは「破軍星の星のうち一人」と書かれているので、北斗七星を構成する星全体を意味するか、あるいは破軍星が何人もいるという設定だろうか。】 【小野川・谷風:どちらも相撲の横綱の名前。】

現代語訳

雷風の二神が大金もうけをするということを北斗の星がお聞きになり、破軍星のうち一神が懲罰に当たられ、雷風神のもとへやって来られた。 「さてさて、お前たちは不埒千万、いたし方もない。これまで我がままに、降りたい時はいつまでも降って人に飽きられ、のらを極める時はやたら照りにて、せっかくのもうけにかかっては『調法だ』と言われては、こちらども(我々まで)外聞が悪い。 決められた日の風や終日の雨がお定まりになり、それがお前たちの役目であり、五穀成就にて取り納めさせさえすれば、それは他に並び立つ者のいない楽なものである。 ことに金銀は国土の宝、それをこちらへ私物化して、虎の皮のふんどしをして相撲を取っても、所詮は小野川・谷風という名声も得られない。 欲心をやめて、もうけたものはあちらへ返してしまいなさい。 お日様などというものは天でも一番上に置かれているから、少しも曇りかすみもなく、穴を一つ開けて油を取りなされば」 雷風神は一言もなく、「いかにも、風雨天に何の不足もないのに、いかにもたわけな出来心」と謝っている。 【お星様の台詞】 「二人とも下界へでも下ろされては困るまい」 【雷神・風神の台詞】 「はい、はい、はい、おっしゃる通りでございます。へい、へい、へい」

英語訳

The North Star heard that the two gods of thunder and wind were making great profits, so one of the gods from among the stars of the Big Dipper came to punish them and visited the thunder and wind gods. "Now, now, you two are utterly outrageous and hopeless. Until now, you've been selfish - when you want to rain, you rain endlessly until people get fed up, and when you decide to be lazy, you create excessive drought. When people say 'how convenient' about your profitable schemes, it reflects badly on us as well. The winds on designated days and all-day rains are predetermined - that is your duty. If you would just ensure the successful harvest of the five grains, that would be an easy job with no equals. Especially since gold and silver are treasures of the nation, even if you hoard them for yourselves and wrestle wearing tiger-skin loincloths, you'll never achieve the fame of sumo champions like Onogawa and Tanikaze. Stop your greed and return what you've profited to where it belongs. The sun, being placed at the very top of heaven, has no clouds or haze at all. If you make just one hole and extract oil..." The thunder and wind gods had nothing to say, and apologized, saying "Indeed, though there is no shortage in the wind and rain of heaven, this was truly foolish greed on our part." 【Star's dialogue】 "You two wouldn't want to be sent down to the earthly realm, would you?" 【Thunder and Wind Gods' dialogue】 "Yes, yes, yes, exactly as you say. Yes, yes, yes."