翻刻
【右丁】
七分の方(かた)長(なが)さ壱寸二三分の大きさに切をき○葛湯(くづゆ)を
至極(しごく)ゆだまのたつほど沸(にゑ)たゝし豆腐を壱人 分(まゑ)入れ蓋(ふた)
をせず見(み)てゐて少(すこし)うごきいでゝまさにうきあがらんとす
るところをすくひあげもる也 既(すで)にうきあがればはや烹調(かけん)
よろしからず其あんばい端的(たんてき)にあり尤 器(うつわ)をあたゝめ
おくべし○生(き)醤油を沸(にたゝ)し花がつほをうちこみ湯(ゆ)を
少(すこ)しばかりさし又一へん沸(にたゝ)し絹(きぬ)ごしにして別(べつ)猪口(ちよく)に
入れ葱白(しろね)のざく〳〵おろし蘿匐(だいこん)辣茄(とうがらし)の末(こ)入る
○京都(きようと)にて是をたゞ湯(ゆ)とうふといふ浪華(おほさか)にて湯
やつこといふ菽乳(とうふ)の調和(てうわ)において最(もつとも)第(だい)一 品(ひん)たるべし
【左丁】
○古法は泔水(しろみづ)にて烹(に)るとあれども葛湯
にはしかす
[九十八]雪消飯(ゆきげめし) [百]うどん豆腐の如く切り[八十一]真(しん)の八 杯(はい)
とうふの如く烹(に)て小寧楽(こなら)茶甌(ちやわん)を温(あたゝ)めをきたるに入
れおろし大根をおき其上へ湯とり飯(めし)をよそひ出す
也 風味(ふうみ)きゆるが如し是(これ)亦(また)清味(せいみ)第二 品(ひん)にくだらず
○湯とり飯(めし)は最(もつとも)精(しろつき)の飯(めし)をたき沸湯(にへゆ)へ入れ撩(かきまは)し
笟籬(いかき)へあげ復(また)もとの釜(かま)へ入れ火気(くわき)のある竈(かまど)へ
かけよく熟(うま)す也
▲[十八]しき未醤(みそ)菽乳(とうふ)の上へ右の湯とり飯(めし)をよそひ