翻刻
【右頁】
女青(ぢよせい|やひとばな)《割書:本-草綱-目》
《振り仮名:小-毒|せうどく》あり《振り仮名:草-生|さうせい|くさだち 》《振り仮名:蔓-生|まんせい|つるだち 》の《振り仮名:二-種|にしゆ》あり《振り仮名:草-生|さうせい|くさだち 》の者(もの)は《振り仮名:蛇-含|じやがん|をへびいちご》の根(ね)なり
爰(こゝ)に挙(あぐ)る者(もの)は《振り仮名:蔓-生|まんせい|つるだち 》なり《振り仮名:野-辺|やへん| のべ 》《振り仮名:竹-林-中|ちくりんちゆう|たけやぶのうち 》に多(おほ)し葉(は)《振り仮名:両-対|りやうたい》し《振り仮名:毛-茸|まうじよう| け 》
あり夏(なつ)《振り仮名:葉-間|えふかん》に《振り仮名:筒-花|とうくわ|つゝはな 》を開(ひら)き実(み)を結(むす)ぶ冬(ふゆ)に至(いた)り熟(じゆく)すれば
《振り仮名:黄-褐-色|わうかつしよく》誤(あやまり)てこれを食(しよく)すれば《振り仮名:衂-血|ぢくけつ|はなぢ 》す
【左頁】
石蒜(せきさん|てんがいばな)《割書:本-草綱-目》
《振り仮名:小-毒|せうどく》あり《振り仮名:山-野|さんや》に多(おほ)し冬(ふゆ)葉(は)を生(しやう)じ夏(なつ)に至(いた)り《振り仮名:枯-腐|こふ|かれくさる 》し草(くさ)なき
が如(ごと)し秋(あき)《振り仮名:一-根|いつこん》《振り仮名:一-茎|いつきやう》を抽(ぬきん)で《振り仮名:茎-頂|きやうちやう》に《振り仮名:六-弁|ろくべん》《振り仮名:赤-色|せきしよく》の花(はな)《振り仮名:攅-簇|さんぞく|あつまる 》す《振り仮名:小-|せう |こ 》
《振り仮名:-児|に|ども 》採(とり)てこれを食(しよく)すれば《振り仮名:言-語|げんご|ものいふこと》拙(つたな)し故(ゆゑ)にしたまがりの名(な)あり
又(また)《振り仮名:鉄-色-箭|てつしよくせん|きつねのかみそり 》《割書:石-蒜|集-解》《振り仮名:宮-人-草|きうじんさう|なつすゐせん 》《割書:述異|記》は其(その)《振り仮名:一-種|いつしゆ》なり
現代語訳
【右頁】
女青(じょせい|ヤヒトバナ)『本草綱目』
小毒がある。草生と蔓生の二種がある。草生のものは蛇含(ヘビイチゴ)の根である。
ここに挙げるものは蔓生である。野辺や竹林中に多い。葉は対生し、毛
がある。夏に葉間に筒状の花を開き実を結ぶ。冬になり熟すと
黄褐色になる。誤ってこれを食べると鼻血が出る。
【左頁】
石蒜(せきさん|テンガイバナ)『本草綱目』
小毒がある。山野に多い。冬に葉を生じ、夏になると枯れ腐り、草がない
ようである。秋に一根から一茎を出し、茎頂に六弁の赤色の花が集まる。子
供が採ってこれを食べると言語が不明瞭になる。故に「したまがり」の名がある。
また鉄色箭(キツネノカミソリ)『石蒜集解』、宮人草(ナツスイセン)『述異記』はその一種である。
英語訳
【Right Page】
Josei (female indigo | Paederia scandens) "Bencao Gangmu"
Has mild toxicity. There are two types: herbaceous and vine-growing. The herbaceous type is the root of jacan (Duchesnea chrysantha).
What is described here is the vine type. It is abundant in fields and bamboo groves. Leaves are opposite and hairy.
In summer, it opens tubular flowers between the leaves and produces fruit. When it ripens in winter, it becomes
yellowish-brown. If mistakenly eaten, it causes nosebleeds.
【Left Page】
Sekisan (red spider lily | Lycoris radiata) "Bencao Gangmu"
Has mild toxicity. Abundant in mountains and fields. Produces leaves in winter, and by summer they wither and rot, appearing as if there is no plant.
In autumn, it sends up a single stem from a single root, with six-petaled red flowers clustered at the stem tip. When children
pick and eat this, their speech becomes impaired. Hence it has the name "shitamagari" (tongue-bending).
Also, tetsushokusen (Lycoris aurea) from "Sekisan Shūkai" and kyūjinsō (Lycoris squamigera) from "Jutsu'iki" are of the same species.