翻刻!地震・災害史料

コレクション: 国文研地震

地震考 - 翻刻

地震考 - ページ 12

ページ: 12

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○此地震考一冊は予か師涛山先生の考る所にしてこの  頃童蒙婦女或は病者などさま〳〵の虚説にまど  ひておそれおのゝきまた今に小動も止ず此後大震  やあらんと心も安からざれは歴代のためしを挙(あげ)て其  まとひを解(と)きこゝろをやすんぜさらしむ京師は上古  より大震も稀なり宝暦元年の大震より今年まで  星霜八十年を経れは知る人すくなし此災異に係(かゝり)  て命を損し疵をからふる人数多なり時の災難とは  いへども亦免かたしとも言べからす常に地震多き国  は倉庫家建も其心を用ひ人も平日に心得たれは大-  震といへども圧死(あふし)すくなし和漢の歴代に記せし地  裂山-崩土-陷島-出涛-起等は皆辺土なり阿含経智度  論などさま〳〵に説て大地皆動くやうに聞えり左に  はあらず初めにいへる如く震は各-処各-気各-動也予  天経或問に拠て一図をまうけて是を明す

現代語訳

○この地震考一冊は私の師である濤山先生が考察されたところであり、この頃、童蒙・婦女あるいは病者などが様々な根拠のない説に惑わされて恐れおののき、また今も小さな揺れも止まず、この後大地震があるのではないかと心も安らかでないので、歴代の事例を挙げてその迷いを解き、心を安らかにさせようとするものである。京師は上古より大震も稀である。宝暦元年の大震から今年まで星霜八十年を経ているので、知る人も少ない。この災異に関わって命を失い傷を負う人も数多くいる。時の災難とは 言うものの、また免れ難いとも言うべきではない。常に地震の多い国は倉庫や家の建築もその心構えを用い、人も平日から心得ているので、大地震と言えども圧死は少ない。和漢の歴代に記された地裂・山崩・土陥・島出・涛起等は皆辺境の地である。阿含経・智度論などに様々に説いて大地が皆動くように聞こえるが、そうではない。初めに言ったように、震は各処各気各動である。私は天経或問に拠って一図を設けてこれを明らかにする。