翻刻!いきもの図鑑

コレクション: コレクション2(楷書)

千蟲譜 3巻. [1] - 翻刻

千蟲譜 3巻. [1] - ページ 23

ページ: 23

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【右丁】 沙ノ性ヨク吸寄 ル功スルトナリ凡 眼中ニ物ノ入タル ニ水ニテ堅メニ此 モノヽ細末ニシ タルヲネリ微 長クホウレイ 綿ニ付テ眼ニハ サムベシ此時ニ 入タルモノ立ニ 出又𦾔時入 タル塵埃ト虽 トモ吸出ス コト妙ナリ 予往年鹿 角ヲ焙リ石 臼ニテツキ粉ニスルコト アリ眼ニ入ルニ三角ニシテ 【左丁】 蕎麦子ノ大サナリ痛不可忍 此物ヲ新ニ粉ニシテネリ綿ニ着テ眼ニ挿ム 須曳ニ尖角躍出ツ立所ニ痛苦ヲ免ル【レヵ】タリ 小児鵞口瘡ニ食塩少許ヲ入レ此末ヲヌリ 擦ツケ置ハ口熱ヲ去リ漸々ニ白キモノ 剥去ル本綱附方ニ小児口瘡ヲ 治ス 原蠶(ナツゴ)所作ノ繭形圓ニシテ軟ナリ春子ノ緊小ニシテ クヒレアルニ異ナリ 其《振り仮名:・|【注】》品ナル種子ニ至レハ四五蚕一繭ニ入ル其状異ニシテ 醜シ亦八蚕一繭ニ入ル甲州方言八人枕ト云 【注 赤点あり 欄外に「下」の挿入あり】

現代語訳

【右丁】 蚕沙の性質はよく吸い寄せる効果があるとされる。およそ眼中に物が入った時に、水で固めにこのものの細末にしたものを練り、微かに長くして、法令綿に付けて眼に挟むべきである。この時に入ったものは立ちどころに出る。また皮膚に入った塵埃であっても吸い出すことが妙である。予は往年、鹿角を焙って石臼で搗き粉にすることがあった。眼に入ると三角で 【左丁】 蕎麦粒の大きさであった。痛みは耐え難かった。この物を新たに粉にして練り、綿に着けて眼に挿む。すぐに尖った角が跳び出て、立ちどころに痛苦を免れた。小児の鵞口瘡に食塩少許を入れ、この末を塗り擦り付けて置けば、口の熱を去り、漸々に白いものが剥がれ去る。『本綱附方』に小児の口瘡を治すとある。 原蚕(ナツゴ)の作った繭は形が円くて軟らかである。春蚕の緊密で小さく括れがあるのとは異なる。その下品な種子に至っては四五蚕が一繭に入る。その状態は異で醜い。また八蚕が一繭に入る。甲州の方言で八人枕と言う。 【注 赤点あり 欄外に「下」の挿入あり】