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【興世を詮義する農民たち】
武藏(むさし)權守(こんのかみ)興代(をきよ)はさても勇(ゆう)
猛(もう)の将(しやう)なりしが運(うん)つきぬれ
ば命(いのち)のおしくて何(いつ)くをあて
ともなく足(あし)にまかせて落(おち)ゆき
ける上総国(かつさのくに)伊北(いきた)といふ處(ところ)
にて百姓(ひやくしよう)どもにみあ
やしめられ
いろ〳〵と
わびけれど
百姓さらに
聞(きゝ)入れず似(に)せ
公家(くげ)めらおもひ
しれやとて我(われ)
も〳〵と農具(のうぐ)
おつとり半死(はんし)
半 生(しよう)に打擲(ちやうちやく)
現代語訳
【興世を詮議する農民たち】
武蔵権守興世は、それでも勇猛な武将であったが、運が尽きてしまうと命が惜しくなり、どこを当てにするでもなく足の向くまま落ちのびていった。上総国伊北という所で百姓たちに見咎められ、いろいろと言い訳をしたけれども、百姓たちは全く聞き入れず、「偽公家めが、身の程を知れ」と言って、我も我もと農具を取り、半死半生になるまで打ち据えた。
英語訳
【Farmers Interrogating Okiyo】
Okiyo, Governor of Musashi Province, was still a brave and fierce general, but when his luck ran out, he became afraid for his life and fled aimlessly, letting his feet carry him wherever they would. At a place called Ikita in Kazusa Province, he was spotted and questioned by farmers. Though he made various excuses, the farmers would not listen at all, saying "You false court noble, know your place!" and each grabbed farming tools to beat him nearly to death.