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【夢を見る氏光】
同十六年五月七日 貞純(さたすみ)
親王(しんわう)桃園(もヽその)の宮にて薨(こう)
じさせたまひける爰(こヽ)
に府生(ふしやう)紀(きの)氏光(うぢみつ)といふ
もの夢(ゆめ)に朱樓(しゆらう)金(きん)
殿(でん)いらかをなら
べたる仙 室(しつ)に
いたるに其(その)長
十丈 計(はかり)の威(ゐ)
神(しん)貞純(さたつみ)親王(しんわう)
にむかひて曰(いわ)く
我(われ)汝(なんじ)をして
此(この)粟散(そくさん)國に生(しやう)せ
しめ王法(わうはう)佛法(ふつほう)を
護(まも)らしめんと約(やく)し
ぬ汝(なんし)今(いま)已(すで)に子孫(しそん)
現代語訳
【夢を見る氏光】
同十六年五月七日、貞純親王が桃園の宮にて薨去された。ここに府生の紀氏光という者が、夢の中で朱色の楼閣と金殿が瓦を並べた仙人の住まいに至った。そこで、その身の丈十丈ばかりの威厳ある神が貞純親王に向かって言うことには、「我は汝をしてこの小国に生まれさせ、王法と仏法を護らせようと約束した。汝は今すでに子孫を...」