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【命を承る御厨三郎将頼ヵ】
東國(とうごく)には平(たいら)将門(しやうもん)逆心(きやくしん)日(にち)〱(〳〵)に増長(そうぢやう)
し先(まつ)隣國(りんこく)を討ほさんと宗徒(むねたう)
の一 族(ぞく)を集(あつめ)合戦(かつせん)の評定(ひやうちやう)區々(まち〳〵)也(なり)
爰(こゝ)に平の兼任(かねとう)といふものあり
常陸(ひたち)の大掾(だいじやう)国香(くにか)の三 男(なん)貞盛(さだもり)の
弟(をとゝ)将門とはいとこなりかゝる
企(くはだて)ありとはしらず催(もよふ)しに
隨(したが)ひ列座(れつさ)してゐたりしか
評議(ひやうぎ)終(おわり)て皆(みな)〱退去(たいきよ)す
兼任(かねとう)も何気(なにき)なき体(てい)にて
去 出(いで)て心(こころ)によろこび駒(こま)を
はやめて常陸(ひだち)に帰(かへ)りぬ
あとにて将門(まさかど)申けるは今日(けふ)
の参會(さんくわい)に諸人(しよにん)のまうす
異見(いけん)を申 出(いで)ら
るゝに独(ひと)り兼(かね)
現代語訳
【命を承る御厨三郎将頼か】
東国では平将門の謀反の心が日々に増長し、まず隣国を討ち滅ぼそうと、主だった一族を集めて合戦の評定を行ったが、意見はまちまちであった。
ここに平兼任という者がいた。常陸大掾国香の三男貞盛の弟で、将門とはいとこの関係であった。このような企てがあるとは知らず、催しに従って列座していた。
評議が終わって皆が退去すると、兼任も何気ない様子で立ち去ったが、心中では喜んで馬を急がせ、常陸に帰った。
その後で将門が申すには、「今日の参会で諸人が申し出た異見を聞いたが、ひとり兼(任のみが何も)」
英語訳
[Mikunari Saburō Masayori (?) Receiving Orders]
In the eastern provinces, Taira no Masakado's rebellious intentions grew stronger day by day. Planning first to subjugate neighboring provinces, he gathered his principal kinsmen for a war council, but opinions were divided.
Here there was a man called Taira no Kanetō. He was the third son of Hitachi Daijō Kunika, younger brother of Sadamori, and cousin to Masakado. Not knowing of such a plot, he attended the gathering as invited and sat in the assembly.
When the deliberations ended and everyone departed, Kanetō also left with a nonchalant demeanor, but inwardly rejoicing, he spurred his horse and returned to Hitachi.
Afterward, Masakado said, "At today's gathering, I heard various opinions expressed by the assembled people, but Kane(tō) alone..."