みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

浅間焼見聞實記 - 翻刻

浅間焼見聞實記 - ページ 20

ページ: 20

翻刻

其年は麻も能生立砂降前伐たるはほしも能かり しか五日六日頃ゟ伐にしは砂ふり雨降日毎に曇りテ 悪敷砂に打れしは疵付漸下麻となる煙草は 不残砂に打れ大小豆稗粟みな種を失ひ芋は 砂の中ゟ葉出四五歩にもとれし也田作は皆無にてわ らもやうやく一尺程有りて用立難し沢山砂の降 し村は根も腐りし故ほき出す信州へは砂もふらざりしが 盆中ゟ雨天ニて八九月灰ふり晴たる日なかりしゆへ実 のりあしく漸弐三歩のとり也当国ニ而も砂のふらざりし 村々とても同実のらすして菜大根も寒さはやき故 そたち兼し也其上蕎麦ニ虫付種ほともなし 砂の降し村々はそばは虫付ぬれと菜蕪はよろし 砂の降ける時直に前栽なと砂を爰かしこ 猪(イノシシ)の掘 たる如くかきわけ菜種をまきちらしける人有り其後青 き物なく難義成りしか其人斗り汁の実麺類のこなど にも手支さりしなり当時成れば菜大根位之物は隣 にさへあれば我物も同し事成ど其節は貰事ニも成かね 壱里も遠き砂少く降し村々へ行おんばことやらを取 きたり飯菜汁なとへも入し也此節七日市御屋敷ゟ 江戸表へ早飛脚の御沙汰ありて御組両人刻付ニて 八日の朝八ツ時屋敷を立出野も山も雪の降しごとく 一面に砂にうづみぬれば更に道もわかりかねけれど