みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

浅間焼見聞實記 - 翻刻

浅間焼見聞實記 - ページ 36

ページ: 36

翻刻

へき様もなくとやセんかくやと思ひわつらふ内又々大水 押来り目の前ニ而つま子を水中のみへすとなす事 あハれなりし事共也其後川筋ニ而男女の泣聲夜毎に きこへけるゆへ村々寺院にて大施餓鬼有りて澁川良 珊寺信光寺両寺の塔婆をさ他?といへる所へたて供養するとなり 吾妻郡に壱人の老婆ありてつねに犬を愛しける 泥押の折から人々川はたへ出居たりしに犬来りて衣 裳のつまをくわへ引ける故追やりけれハ又きたり頻りに ひきし故あとを慕ひ行ミれバはる〳〵下もにかの老婆川 はたへ流出居たりしゆへ水をはかせ藁火にて温めいろ〳〵 醫療をくわへけれバいき吹出し快氣しけるとなり 市代村ニ而土蔵の棟木へ金百両入置泥押の砌押流し下モニて あるゆへ右の場所へ参りあけし者へ尋けるに無之由途中 ニて失けるやまたハかくしける事にや 奥田村ニ而四拾斗の女泥ニ而押流されけるが三里程下にて揚り 苦しむゆへ人々立寄ミれバ口より大きなる石をはき出しける此 石中々なとへ入へきやうなき石や其所の里人是を見て 其もとハ此石ゆへ扶りしならん大切に持返り給へと云しと也 又十里弐拾里下にて長竿にて扶りし人も有りしとなり ある川はたに流れ来りし|屍(シカバね)有りかねをくひに 掛ありしをミつけぬる人有りて是社よき得ものなれ仏 神の我にあたへ給ふならめとひとりごちてとり帰り