みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

浅間焼見聞實記 - 翻刻

浅間焼見聞實記 - ページ 37

ページ: 37

翻刻

盲亀の浮木を得うどん花のひらくを見たるこゝちして よろこひ酒肴を調へ隣家の人々をむかえてもてなしはや夜 も更ぬれハふしどに入りていねたりすでにうしの刻とも おもふ頃月色朦朧として風こすゑをならし不覚(スロ)に ものすごくしてミじろきもセすふし居たりかの死人の霊 魂枕のもとに来りていへらくなんし我所持したる金を貪 りもてきたる事いとにくき業なり命を際に人の家 蔵にしのひて財宝を盗取りし業ゟもにくしすミやかに 其金帰すへしといへる有りさま大膽なりし彼男もおや へす髪も身の毛もそばだちていと〳〵おそろしく思いひ 夜のあけゆくを待わひ頓而もちゆき其金を屍の 首に懸置立帰りける又ある人其よしをきゝて川はたに 行死人に向ていへらく足下非命の死をなしたもふ事 水中の苦しミ思ひやられて哀也又今首に掛給ふ 金を子孫に譲りまいらセたく思ひ給ふべうぞあらめど 察し侍るといへとも何国いかなる所にやをくるへき便なし 願くハ其金我らに恵ミたまへしかあらハ子となり親と 思ひ予か先祖の廟と同し?所に埋めしるしをたて 尊霊成佛得脱の為に僧を供養しなからく 香花を手向奉らんもし此事うけひき給ハずハ先夜 のことくきたりて告給ふへしとて其金持来りぬるに ぞの夜もまたの夜もきたらされハ其もふねんきへ