みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

やぶれ窓の記 全 - 翻刻

やぶれ窓の記 全 - ページ 10

ページ: 10

翻刻

見れば東は本所|巽(タツミ)は深川西は丸の内|乾(イヌ井)は小川町 南は京橋の辺り北は下谷|艮(ウシトラ)は千住吉原浅草 すへて火の口《ルビ:はたち|二十》はかり見ゆ丸の内 京橋のほとりなとの近きは火の子《割書:火の子といへる事|平家物語に見ゆ》 ちりぼひ家〻の燃る音さへあからさまにていと〳〵 すさまじ其夜は北風にて京橋の火は我をる町 《割書:西河|岸町》を《ルビ:しり|後》にせれは気づかはしからす又丸の内の火は 火の行かたはらにあたれり小川町のは追風(オヒテ)にて いと〳〵あしければかにかく火のやう見んとて 家を出つ時に丑の刻ばかりなり我町は《ルビ:ぬりごめ|土庫》 おほかた崩れたれと家〻は庇おち傾きたる のみにてひたと倒れたるはなく一石橋の南の 橋きはの石垣少しく崩れおち《ルビ:いしたゝみ|甃》ゆるぎ 壊れたり此橋を北鞘町のかたさまへわたるになゐぶりの ために《ルビ:つち|大地》のすべてあれすさみしはおほかた ひとひらの紙をもみしに似たればこゝにいはず 又さりかたきは後にもいふへし先鎌倉河岸より ニ三番の御火除原の前を過き四番のはらのうしろへ