みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

やぶれ窓の記 全 - 翻刻

やぶれ窓の記 全 - ページ 15

ページ: 15

翻刻

《割書:命せられしかば其心を得て|忽ちもとの相場に帰したり》かゝるすぢも時に従ふおのづからの 勢ひにて又とゞめがたき所なりかし今夜子の刻 過る頃大手御門の内下御勘定所より火出しかど 他(ホカ)も焼ずして鎮りぬ四日|天晴(ソラハル)家に在りて壁の こぼれ塵ひちなど打はらひ衣服入し櫃 つゝらなど取|収(ヲサ)めて後吾墓どうろのいかに 荒けん又《ルビ:め|婦》なるものゝ老たる母うへの安否も 訪はまほしくて家を出づ江戸橋をわたり小船 町を過る此ほとりなどはつよくゆりしさまなり 横山町壱丁目飯沼屋源兵衛がりを訪ひ老母又 人〻の事故なきを歓ぶ同二丁目の佐葆介我 三丁目の田中甘志を訪ふにふた方ともに恙なし こゝらの大路のありさまを見るになゐぶりの為に うせたるものゝ|亡骸(ナキガラ)とおぼしく《ルビ:ある|或》は酒入れし 樽又は水桶かつは蔬などに裹(ツヽミ)たるまゝにていくら ともなくさし荷ひゆく本所の回向院又は浅草 下谷などおの〳〵其よせあるかたへとりおくなるべし 嗚呼さもあるべし新吉原に死せるもの丸の内