みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

やぶれ窓の記 全 - 翻刻

やぶれ窓の記 全 - ページ 16

ページ: 16

翻刻

小川町なとの第宅又本所深川なとは殊にすさま じうゆり動きしと聞ゆれは物にふれて死し たるものはいかばかりにかあらん甘志もいとま告て 吾よるべの《ルビ:みてら|香花院》を訪らはんとす甘志もともにと いへるにさらばとていざなふ行〻阿部川町称念寺《割書:一向|宗》 地中願信寺に至るに堂舎共にいたく牋(ソコナ)【残の誤りか】ふ 住僧にあひて安危を訪ふに辛うして恙なく 凌ぎしといふ金ひとつを《ルビ:たゝう|畳紙》がみにして香料に さゝく本寺の庫裡(コリ)はいたく荒たれと本堂は 瓦落壁毀れたるのみにて先つ平らか也墓所は いかにと気遣いしくまゐるに人のも我のもなべて 打倒れてあさまし吾しるしの石起こしてと思へど 老の手の及ぶところにあらざれば空しく礼して 帰る道のほど浅草新堀端御書院番組屋敷内 安井氏峨松同所奥の原大井氏千紫児玉氏 立基を訪ふにみな事故なきをよろこふ日も 暮ぬべき際(キハ)なれば家に帰りぬけふ我みてらへ まゐりしをり本堂の傍らに人の《ルビ:なき|亡体》がら十ばかり