翻刻
送らる七日|天晴(ソラハ)る家に在り本所回向院にてよの
つねは無縁の亡者ひとりを銭壱貫文にて葬りし
例なるをこたひは寺務のためいさゝかの香銭も
受す葬りたきむねを願ひ出しよし
おほやけより市中へ觸示さる今夜の酉 ̄ノ刻
はかり地震つよくもあらねと揺(ユス)る人〻|忙怕(ヲジ)
居ばおとろきわなゝく事おほかたならず
二日の夜より後昼夜の間二たび三たひづゝ
すこしくゆらさる事なけれはおのも〳〵いまだ
大路に円(マト)ゐ居る《割書:おほよそ今月廿四日頃迄に|漸くなゐふりうすらきゆりやむ》おのれは
三日の夜よりふたゝびなゐぶりせん事あらばと
其|心術(テダテ)して宿に臥せり今日(ケフ)
おほやけよりのつね御觸に大路小路に所せきまで
仮屋して構へをれば乗馬其外の往来に障ること
ありてはあしかりなんさらは今より後は道に
幅(ハヽ)わからず又はゞかりておのつから疵うくること
なからしめんや《ルビ:う|ウ》に計らふへしかつもしふたゝび
つよくゆりて家〻はさら也|外面(ソトモ)の仮屋など潰るゝ