翻刻
ついてに世くたりて天の下にくさ〴〵の害(ワザハ)ひおこるを
古希過る身のまのあたりに見もし聞もする
うれたさに此うへはひたぶるに
上御一人より下万民の動揺のほどは天神地祇の
加護にあらされば大八島国の往来安く平らけきを
見ん事おぼつかなしなと歎息して句あり
〽往け時雨神の迎ひを出雲まて 朗一 予もいぬる夜
斯(カウ)ものせしとて書て与ふ〽尾鰭なき海鼠(コ)にも
翅の願かな〽掻きまぜてあらもとかしや鶏卵酒
〽凍(イテ)わるゝ土に口あり霜の声〽なからへて鳥叫(トサケ)ひ
鳴やきり〳〵す なゐぶり火おこりしさまを
〽熬(ニラ)るゝや柴漬(フシツケ)鮒のひと凝(コヾ)り 日も既に暮んとす
泊りてんやと問ふにめこのおもはん事もと
《ルビ:いらふ|答》しひてとゞむへき時にもあらねは再会を
期して別る十日天曇る在宿午過る頃葎?甘舎
介我来る火桶のもとに題を探る其中秀吟
〽木の葉さそふ入相の鐘の声のうち 介我 又予も
〽雪催ふ雲の光りや夜の海 など口|嗁(ズサ)む互に