みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

やぶれ窓の記 全 - 翻刻

やぶれ窓の記 全 - ページ 30

ページ: 30

翻刻

 ついてに世くたりて天の下にくさ〴〵の害(ワザハ)ひおこるを  古希過る身のまのあたりに見もし聞もする  うれたさに此うへはひたぶるに  上御一人より下万民の動揺のほどは天神地祇の  加護にあらされば大八島国の往来安く平らけきを  見ん事おぼつかなしなと歎息して句あり  〽往け時雨神の迎ひを出雲まて 朗一 予もいぬる夜  斯(カウ)ものせしとて書て与ふ〽尾鰭なき海鼠(コ)にも  翅の願かな〽掻きまぜてあらもとかしや鶏卵酒  〽凍(イテ)わるゝ土に口あり霜の声〽なからへて鳥叫(トサケ)ひ  鳴やきり〳〵す なゐぶり火おこりしさまを  〽熬(ニラ)るゝや柴漬(フシツケ)鮒のひと凝(コヾ)り 日も既に暮んとす  泊りてんやと問ふにめこのおもはん事もと  《ルビ:いらふ|答》しひてとゞむへき時にもあらねは再会を  期して別る十日天曇る在宿午過る頃葎?甘舎  介我来る火桶のもとに題を探る其中秀吟  〽木の葉さそふ入相の鐘の声のうち 介我 又予も  〽雪催ふ雲の光りや夜の海 など口|嗁(ズサ)む互に