みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

やぶれ窓の記 全 - 翻刻

やぶれ窓の記 全 - ページ 31

ページ: 31

翻刻

 なゐふり以後の気韻おのつから句中に顕れ  たりと評しつゝ別る又此十三四五のあらひ巣鴨  小原町一行院《割書:紀州産徳本|上人開基浄土宗》までこたひの私は災ひにあいて  亡(ウセ)たる人〻の法会行ふよし聞ゆ十一日天曇る  けふは吾故郷のしるへを訪はまほしく其ついてに  をちこちの有さまをも見んとて巳の刻ばかりに  家を出て呉服橋をわたり和田倉御門を入るにさきに  書付し御かた〳〵の巨万の屋敷の火地となりしを  見るに此あたりはいたくゆりしさまにて第宅ともの  火にふれざるも猶火地に異ならずあれすさみて見ゆ  御本丸西御丸の鳳城御櫓御営などおほけ  なくも見あげ奉れは石垣|頽(クヅ)れ御営傾きてみゆ  西御丸はわきてかたぶきたるさまなりきされど  こゝらの御事はかけてもいふまじき例(タメシ)なれば  まのあたりの有のすさみを書記すのみなり  こゝより大手御門前を経て神田橋御門を出て小川町の  有し火地を見るに其傍の火にあはざる屋しきも  おしなべて潰れ倒れしかは焼たる地よりも