みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

やぶれ窓の記 全 - 翻刻

やぶれ窓の記 全 - ページ 36

ページ: 36

翻刻

 湯島より小川町丸の内の間つよくゆり  西御丸の内|連屋(ナガヤ)より火起りし事なと見え  又ある書に此時戸障子倒れ家は小舟の大浪に  動くがごとく地は割れ砂をもみあけ水を  吹出したる所もあり石垣家蔵頽れあるは  潰れて死人夥し又所〻毀れたる家より  失火ありて且同夜|海浦(ツナミ)の変ありて房総の間  人馬とも多く死し小田原は殊につよく  震ひ大浪地を破て二千人余死亡せりと見え  又後見草といへる書のあら〳〵をこゝに  約(ツメ)て記す天明二年壬寅七月十四日子の刻  ばかりなゐぶりつよかりしに人〻は寝入り  こみたる頃なれは驚きさはく事おほかた  ならず又明る十五日の夕つがた卒爾にゆり  出し壁をふるひ瓦を落しあやしき  家などは見るまに倒るゝも多かりき明る朝  見れば地(ツチ)は氷の如く裂けつ其中にも  小日向の江戸川の岸は地三尺計り裂け 【上段】 悟一曰後見草は 鶏?斎といへるもの 宝暦より天明 までの天変地 妖を見聞のまゝ に筆記して亀 岡石見《割書:石方|御用》達 眼前に記したる 覚書に合冊し てしか名つけし 写本也