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コレクション: STAGE9

やぶれ窓の記 全 - 翻刻

やぶれ窓の記 全 - ページ 37

ページ: 37

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 開らきけりほどへて後にきけば相州小田原の  城の櫓をはしめとして神社仏客商人の  家蔵に至るまですべて恙なきはなかりしよし  見えたり此前後に  御膝下の都会のあはひはいはず其近郊たに  大震ありしを聞ざりしが吾おほえて  文政二年乙夘六月十二日帝都にありし  又同き十一年戊子十一月十二日越後国長岡の辺  同十三年甲寅七月《割書:十二月十六日|改元天保》二日京師一円  弘化四年乙夘三月廿四日信州善光寺辺嘉永  六年癸丑二月二日豆相二州そこばこの大震又  同じ七年甲寅十一月四日《割書:十二月五日|改元安政》五畿七道なべての  大地震大|海浦(ツナミ)など前代未聞と承りしも  江府はさなからゆりしほどもつよからねば  なほざりにのみ過しつるを今の《ルビ:をつゝ|現在》の  大震にふれしかははしめて彼のもろこし  人の虎にあひし物かたりをせしに誠に  あひし人のひたふるにおちおそれておほへす 【上段】 泰平年表に文化 九年壬申十一月十四日 江戸及近国大地震 神奈川程ケ谷辺 殊に甚しく民家 破倒すと見へたるは 吾年十一の時にて まさしく覚え たれど世に普く いひ伝ふへき大 震にはあらさりき 覚云玉滴隠見と いへる書を見しに 上方に大震ありし 事を載たりそは 寛文二年五月昨日 より五日まてのうち 毎日六七度づゝ動 揺せしとぞ事長 けれは爰にいはす 其書を獲(エ)て見 るへし天文の年(コ) 間(ロ)より延宝に至り て百四十余年 の間の事ども を何くれとなく くさ〴〵集めたる 覚書にして十五 巻なる写本也