翻刻
詠大震
安政二年十月二夜怒號震動響_二乾坤 ̄ニ_一屋-鳴瓦落鼡肝砕 ̄ク風裏
人-声十字奔 ̄ル壁_二上乱 ̄ヲ_一如 ̄ク_レ看 ̄カ_二逆浪 ̄ヲ_一紙窓㴸 ̄ヲ似 ̄リ_レ破 ̄ルニ_二心-魂 ̄ヲ_一婦-人婢-女犯
_レ吾哭 ̄ス窮-意湛-如扶-渠?煩 ̄シ地-妖稍 ̄ク消 ̄ス蘇得 ̄ノ思 ̄ヒ頻 ̄ニ恐 ̄ル天-帝地神 ̄ノ噴 ̄リ須
臾石火眼前 ̄ノ際有無存亡不_レ可_レ言 ̄フ忽 ̄テ発 ̄ス火-烟横_二遠近 ̄ニ_一㘴来多-少
灼 ̄ク_二都門 ̄ヲ_一賎人傷 ̄リ_レ踵 ̄ヲ惑 ̄フ_二阡陌 ̄ニ_一高貴傒?陪依 ̄ル_二後園 ̄ニ_一金-殿玉-楼灰燼 ̄ノ趣
市鄽倉禀潰-頽 ̄ノ痕火-災時-鎮鶏晨 ̄ノ景払 ̄テ_レ涙 ̄ヲ遍 ̄ク看 ̄ル千里 ̄ノ原皇国無
双鳳-郭 ̄ノ下江-都花-麗旡量 ̄ノ軒悲 ̄セ哉凌-礫一-枚紙此 ̄レ願 ̄フ採-毫伝 ̄ンコトヲ_二子
孫 ̄ニ_一
此ひと巻はなゐぶりの後十日はかりのあはひ
目にふれ耳ににふれし事どもを破れたる窓の
もとにありてしのび〳〵に書綴りしなれば
ひまもる風のもれたるも戸|閾(シキミ)のうちあはぬも
後鎖(シリサシ)のさしたがひたるも鉤匙(カキガネ)のかけあはぬも
いと〳〵多かめれとかゝるうれたき天地(アメツチ)の
災ひによりてかれも是も事驚き中に
筆をとりて毀(コボ)れたるを拾(ヒロ)ひ散たるを聚(アツ)めて
文の《ルビ:あや|飾》めも繕はずかたなりに成たれば