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【右丁】
入の時は。近辺(きんへん)の山々に気(き)づかひをする事(こと)
尤なり。嶋陰(しまかげ)のけふり。水鳥(みつとり)のさはぎ。夜(よる)は
敵船(てきふね)味方(みかた)の舟にまぎれ。しのびくる事有
ものなり。昼(ひる)は船印(ふなじるし)。夜はてうちんに。大将の
紋(もん)を印(しるし)に付。かたく用心尤なり。又敵船二三町
ちかく漕(こぎ)よせ。海中(かいちう)へ人をおろし。水に得た
るものおよぎ来て。味方の船ばたにあるを
あけ。錠縄(いかりなわ)などきるためしあり
《箱:第十三》 相かぎの事
▲へさきの楯(たて)の陰(かげ)に置(をく)ものなり。相(あひ)かぎと云
【左丁】
は。かなぐさりのさきにかなかぎを付。敵
船へ押(をし)かゝる時。かぎをなげこみ。船にうち立(たて)
引よせ。のりうつり戦(たゝかふ)なり。うか〳〵とのり移(うつ)
りては。我船へのりもどりたき時に。ふね
わかれ〳〵に成(なり)叶(かなひ)がたし。とかく味方の舟へ
敵をのせぬやうに戦(たゝかふ)べし。又敵よりほう
ろく火矢(ひや)なけこむ事あるべし。其時は
たもにて請なげかへす事 専(せん)なり。か
ねて鉄(てつ)のあみにてたもをあまたこしら
へ。舟にいれをく事尤なり