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翻刻
【右丁】
頸実検之巻(くびしつけんのまき)
《箱:第一》 対面(たいめん)の首(くび)の事
▲敵将(てきしやう)の首(くび)を討捕(うちとり)見(み)るを対面(たいめん)といふ。此 次第(しだい)
は。先(まづ)幕(まく)をうち。幕(まく)をむすびあけ。其 中(なか)
に主君(しゆくん)六具(ろくぐ)し。せうぎに腰(こし)をかけ。左右(さう)に
は。一 家(け)の長臣(ちやうしん)歴々(れき〳〵)鎧
(よろひ)てなみ居(ゐ)。幕(まく)の外(そと)
は諸士(しよし)にけいごさせ。首(くび)をけしやうし。首(くび)
塚(づか)にすへ。二人(ふたり)してかきいで。幕(まく)の外(そと)に置。
其首とりたる者(もの)。刀(かたな)を抜(ぬき)左(ひたり)の手(て)へとりなを
し。刀(かたな)のはかたきつさき。主君(しゆくん)の方へなら
【左丁】
ぬ様(やう)にして。右の手(て)にてたぶさをとり。刀(かたな)
をへだて。刀の下より首見する品(しな)を。三
度(と)。首(くひ)真向(まむき)にならぬやうに。左(ひたり)のひんづら
を見するなり。主君(しゆくん)左の眼(め)のしりにて卒(そ)
度(と)みるなり。其後(そのゝち)首(くひ)を首 塚(づか)の上に置(おき)刀を
さす。さて主君三々九度の酒(さけ)をのむ。帰陣(きぢん)
の式体(しきたい)なり。首(くび)へも別酌(へちしやく)にて酒(さけ)を出(いだ)す。さん
ぼんとぢめのふちをかぎ。土器(かはらけ)二 直(おき)いだす。
首とりし者(もの)盃(さかづき)をとり。一 献(こん)うけ首にかけ。又
一度 加(くわ)へ首にかけ。盃(さかづき)をさんほうのふちにふ