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【右丁】
らず。人にうしろゆびさゝれて。又 後世迄(のちのよまで)
かたりつたへの愚将(ぐしやう)なりと。いはれん事の
はづかしさ口(くち)おしさ。まことに辱(はぢ)をしるは勇(ゆう)
にちかし。道(みち)ならぬ事(こと)は皆(みな)はぢなり。天(てん)
理(り)を得(え)。道(みち)をまもるものは。いとなんのはづ
かしき事あらん。たとひ君(きみ)は湯王(たうわう)武王(ぶわう)。臣(しん)
は伊尹(いいん)大公望(たいこうばう)をまなぶとも。俄(にはか)に合戦(かつせん)の
場(ば)にあたり。其時(そのとき)ばかりの君子(くんし)にては。勝事(かつこと)
を得(え)がたし。それ勝(かつ)べき軍(いくさ)は。出陣(しゆつぢん)い
ぜんにしるゝなり。賊将(ぞくしやう)一人こそかたき
【左丁】
なれ。敵(てき)の諸卒(しよそつ)は皆(みな)このほうの味方(みかた)なり。
内々(ない〳〵)の行跡(かうせき)に。うとみ果(はて)たる其将(そのしやう)を討(うた)ば。是(これ)
天理大人(てんりたいじん)の軍(いくさ)なり。此時 敵国(てきこく)の万民(はんみん)。などか
よろこばさらんや。百日の大 旱(ひでり)にのぞむ雲(うん)
霓(げき)のもよほして。今ふりかゝる雨(あま)そゝぎに。
民(たみ)も五穀(ここく)も生(いき)かへりたるこゝろにて。こな
たの将(しやう)を我君(わかきみ)と待得(まちえ)ては。なびきしたが
はすといふ事(こと)なし
《箱:第二》 三つの勢(いきほひ)の事
▲よき地形(ちかた)の馬場(はゝ)地勢(ちせい)なり。諸勢(しよせい)兵 粮(らう)つ