翻刻
なるを得たるは男と成其陰気の順(シタカヘル)を得
たるは女と成けり人にかきらす麻竹(アサタケ)の類と
いへとも牝牡(ヒンホ)あり然れは人の生(セウ)するは天地
陰陽の気を得て己か性とし具(ソナヘ)たる物にし
て気是が形をなす形にあしき事ありと
も心にあしき事なし形によき事ありとも
心にあしき事あらば何ンそよしとせんや其
うへすへて人は性(セイ)を具(ソナヘ)て善(ゼン)なる物なり
故にそれにしたかつて行(ヲコナ)はゞ道に叶(カナワ)ざらんや
性(セイ)のまゝに行ふてあしき事あらばそれは
何そ憂(ウレフ)るにたらん爰(コヽ)をもつて見る時(トキ)は
相者といへとも其(ソノ)人の行(ヲコナ)ひを見ていわんこそ
実(マコト)の相者といわめ徒然草(ツレ〳〵クサ)に書(カキ)しごとく
秦(ハダ)の重躬(シケミ)が下野(シモツケ)の入道 信願(シングワン)が落馬(ラクバ)の
相(サウ)ありとて見しは好(コノ)んて桃尻(モヽシリ)の馬に乗(ノリ)し
ゆへ也とあり此等(コレラ)こそ実(マコト)の相者とやいわん