翻刻
いか成 理(コトハリ)か侍る
対曰|瘧疾(ギヤクシツ)の事ハ医書(イシヨ)の中に諸論(シヨロン)尤
多(ヲヽ)し夫(ソレ)瘧(ヲコリ)は四季(シキ)共にありといへとも先は
夏暑(ナツシヨ)にやふられて秋発(アキハツ)すると内経(タイキヤウ)に
あり寒熱(カンネツ)のめくり不節(フセツ)にして煩(ワヅラ)ふ事
あり又 風寒(フウカン)に感(カン)して発するもあり狐貍(キツネタヌキ)
の附詫(フタク)して瘧(ギヤク)するもあり其人|虚懦(キヨタ)成時は
邪気虚(ジヤキキヨ)に乗(ゼウ)じて人をなやます也 身心(シンジン)
堅固(ケンゴ)なれは何(イヅ)れの隙(ヒマ)よりか邪気(ジヤキ)の
入事あらん抑(ソモヽ)唐土(モロコシ)にて昔(ムカシ)顓頊(センキヨク)と
申 帝(ミカト)の御子 江水(コウスイ)に入て瘧鬼(ギヤクキ)となれ
りと漢官儀(カンクワンキ)に書(カキ)たれとも異国(イコク)の妖(バケモノ)
日本まで来(キタ)るべきにもあらす祈(イノリ)ま
じなひにて瘧(ヲコリ)の落(ヲチル)といふは其 気(キ)の信(シン)
による也たとへ何事にても其こゝろ
ひとへに敬(ケイ)する時はをのづから其|心中(シンチウ)に