みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

挿画熱海日記 全 - 翻刻

挿画熱海日記 全 - ページ 21

ページ: 21

翻刻

かくはしけりし雨のほそ〳〵とふりいてたるにいそかれ てとくやとりにかへる 二日 空はれたり しるすへき事なし 三日 けふもていけ【天気】よし 伊豆のみ社にまうつ 山路のけはしき をのほりくたりゆくほとに あないのをこすこしおくれて ゆく てをそことさためかねたり をみなのはたおるを見いてて 伊豆のみ山やいつらととへはこゝはや伊豆のみ山なるをと いふたみ聲のかと〳〵しきに 正矯うちにかみてかたくなに ものいふをみなかなといふ さないひそ 夏引のしら糸をさ衣 にもおるものを麻きぬもわがめのこと たもとよくきよくかたよく きせもしぬへきをとてわらふ あないのをこ追きたるを 来宮 【欄外】 催馬楽 なつ引のしら糸なみはかり ありさ衣におりてもきせ むましめはなれよ 二段 かたくなにものいふ をみなかなましあさきぬ もわがめのことたもとよく きよくかたよくこくひ やすらかにましきせめ かも

現代語訳

このようにしていると雨が細々と降り出してきたので急いで早く宿に帰った。 二日 晴れた。記すべきことなし。 三日 今日も天気がよい。伊豆山神社に参拝する。山道の険しいところを登り下りして行くうちに、案内の男が少し遅れて、行く道がどこかはっきりしなくなった。女が機を織っているのを見つけて「伊豆山はどちらですか」と尋ねると、「ここがもう伊豆山ですよ」と答える民の声がはっきりしている。正直で素朴で、頑固に物を言う女だなあと思う。「そんなことを言ってはいけません。夏引の白糸を麻の着物にも織るものを、麻の着物も私の好みです。袖をよく清らかに美しく着せもしようものを」と言って笑う。案内の男が追いついてきたので

英語訳

As we were doing this, rain began to fall lightly, so we hurried back to our lodging. Second day: Clear weather. Nothing to record. Third day: The weather is fine today as well. We visit Izusan Shrine. While climbing up and down the steep mountain paths, our guide fell a bit behind, and we became uncertain of which way to go. Seeing a woman weaving cloth, I asked, "Which way is Izusan?" and she replied, "This is already Izusan," her common voice clear and distinct. She speaks honestly and plainly, stubbornly - what a woman! "Don't say such things. Even hemp garments can be woven with the white threads of summer silk - hemp clothing is also to my liking. The sleeves could be worn cleanly and beautifully," I say with a laugh. Our guide caught up with us...