みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

地震前兆集 全 - 翻刻

地震前兆集 全 - ページ 23

ページ: 23

翻刻

広き市中に数ふる程也よしや其設ありとてもかく建込たる 市中にては外へ出たりとも恙なしとも定めかたしされば かく強くある日とてもゆりやまねば此末いかに成行らんと驚き まどひ十五日の夜は船にて大川にうかひぬる人多しされば屋根 船は本より上荷茶船あやしの網【右に網と楷書】船或ハ三十石天道抔いへる をさへかりて心うきうきぬをなし又ハ過し年《割書:嘉永五|子年》の火に逢 て未タ家を造らぬ広き場に塁【畳ヵ】板戸を持出し明かしぬるもあ わていと騒々しき事共也家毎のぬり篭の壁にひゞき【右に(れカ)と添じ】の入 さるはなく軒の妻のくだけたるも有灯【右に(石脱カ)の添字】篭ハ家毎に皆倒 れたりとぞ西横堀なる瀬戸物店店物大かた打破たりは し〴〵には倒れ傾きし家もありといへば怪我セし人もなき には非るべし十五日暮ちかく成ての三度ハ余程強かりしかど 夜に入ては子の刻【右に過】まで音せねば最早是までぞと思ひしに 同じ時過る頃より又震出て明はなるゝ迄に十度余りに及ぬ 夕へより雨いさゝか降しかど明はてゝやみぬ 十六日陰晴不定 朝より暮るゝ迄に大小あれども七度斗震ふ其内朝の二度 強くして隣家の塀の土落たりこは此程よりゆるみありしゆへ なるべし夜に入て震ひしかはしらねど夫と思ひはなかりし 十七日けふも晴陰りて折々小雨降る 昼之内六度斗り夜に入て二度斗りは至而軽かりしけふ未の時頃 より西南の風烈しく吹出たり夜に入て丑之刻より雨さへまじり