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コレクション: STAGE1

地震前兆集 全 - 翻刻

地震前兆集 全 - ページ 55

ページ: 55

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《割書:不鳴あり不鳴に震ふのは稍強く鳴て震するは弱し|大抵末に至つても皆斯之如し》初め大に震し時地裂け山 崩れ巌落ち河水漲りて涯上に騰り半は咸り残る所の水は深濁して 泥之如し堤割れ道裂れ橋墜家蔵或は潰れ或は倒れ或は庇 放《割書:風と片庇は|皆落る》或は壁崩れ一室も破傷せさるはなし瓦壁崩落せし時 は土埃煙の如く立騰り忽ち家宅焚るかと疑へり建具障子は縦横 に散乱して破裂け器物夥しく毀傷し見るに苦しき形体なり幼童 女婦は震慄して啼哭すること不止は実に凄冷じく亦懼しき事なり けり斯くて只忙然として皆人家外に立集ひ驚歎して居たりけり 折から遥に見れば高知之方に当り火登り熅煙天【"雲"と添え字あり】に入る夜に至れは火 煙天を燎して赫々たり遠く地を照すこと奐乎として白昼之如し 扨又初更之頃俄に諸方騒動して喧し何なる故そと尋ぬれは大潮の 来るとて周章転動して山路の方へ避け走る其物音遠近に聞え渡 り暫し間鳴も謐まらず世界騒しきこと云許りなし其人々の中には取 る者も取あへず薄着に空腹の侭なれば寒餓身に迫り患苦せしも多 かりしとなん最も哀れ  予今日他適し初めの震に遇ひ稍止まつて【"急に"と添え字あり】家に帰り家内之上下無事なるを  相歓ひ扨家屋を見合するに所々破損し建具座中に散乱しければ足を入る  に処なし旦又震ふコト繁ければ舎外に席を設け終夜寒霜にふれて苦める  こと云ふに絶へたり 一六日震ふ事四十五度昼は温にして夜は寒し《割書:寒暖も甚超過せり以来十|日過まで同じ昼二十一度午》 《割書:時一度強し夜廿四度|亥の刻甚長し》  今朝に至りて何之事も無かりけれは前夜山辺に行ける人皆家路に帰り