翻刻
一十九日震こと八度温なり《割書:昼五度|夜三度》
一二十日震こと九度《割書:昼二度|夜七度》
一二十一日震こと八度《割書:昼三度|夜五度》
一二十二日震ふ温なり
一二十三日微し震暖なり
一二十四日上に同じ《割書:晩景より曇浪大に鳴|夜九ツ時東風吹大雨》
一二十五日少し震風雨雷電甚し《割書:昼五度夜三度晩方浪太く潮高くなるは八月七日|より今迄大雨なし旱故地太た乾く》
一二十六日微し震昼より西風大に吹く
一廿七日震《割書:同|上》雪降後西風烈
今度雨雪に値ふて後衆人皆以為らく震何を限とも知れず
又雨雪風寒を凌くに便り悪きとて更らに小家造りを堅固に修理
理し当時仮りに住居之結構となりぬること専らなり斯くて富
有之家柄迚も僅なる一間の己(小)家なれば資具置に所なければ朝夕
之調度も揃はず竈も一ツにて万事足らん適来客あるにも精食
菜美之設【「出来」を取消】出来ねば馳走する造作もなく唯質素になるも反て気
軽しとて不自由なるも憂へとせず茶飯に香之もの味噌を嘗て酒
を飲み酔て寝るにも安楽と手枕之高鼾は伝へ聞く古への賢人が
疎食曲肱陋巷之在楽にも彷彿たる風情に劣りはせじと談笑せし事
抔あり
以前十六日之雨雪に地少し湿るといへども素より八月中旬より乾け
る土なれば翌日速に燥けること故との如し今度之雨太しくして
一度に滋潤するとも以前より旱続ける故に早く乾燥之田畹 【畹:はたけ】