翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

大磯地蔵咄 2巻 - 翻刻

大磯地蔵咄 2巻 - ページ 12

ページ: 12

翻刻

ぢこくのどうぐのこらず できそろいひのくるまにて □こぶ所【はこぶ所】 【車を引く鬼の台詞】 ざいにんのせ てひくとは ちがつて どうくはひ きぬくいしやは のかるこしやう【軽子衆】は がかおれた【我が折れた=恐れ入った】 さあ〳〵てきました まつこのかま【先づこの釜】 てにばなおし【で煮端をし】     ませう【ませう】 【軽子:雇われて荷物を運ぶ人。軽篭者。『江戸語の辞典』によれば車力は別との事だが、ここでは車を引く人のことを言っているようだ。】 【煮端:茶を沸かすこと】 【左ページ上】 ゑんま ちぞう 御よろこび     給ふ 【地蔵の台詞】 あた ら し い と う くて さいにんのに【罪人の煮】 あんばいが【塩梅が】 ちが おう 【左ページ中央、地獄の役人?の台詞】 この やうに どうぐか そこねては ちごくも こんき   う つか ま つる これに つけて もぢ ごくも かね しだい   た いかい 大いその   ちぞうのおせわ 【右ページ左端、鬼?の台詞】 はう こう【芳香】 つよき   もの は すぐ にこくらくゑ つかわされ ませ 【罪人を釜ゆでにして良い香りになったらすぐに極楽へやるといいでしょう、と言っている】

現代語訳

地獄の道具が残らず出来揃い、火の車にて運ぶ所。 【車を引く鬼の台詞】 「罪人を乗せて引くのとは違って、道具を引き抜くのは軽い。軽子衆(荷物運搬業者)には恐れ入った。さあさあ手際よくできました。まずこの釜で煮沸をいたしましょう。」 【左ページ上】 閻魔と地蔵が御喜びになる。 【地蔵の台詞】 「新しい道具で、罪人を煮る具合が違うであろう。」 【左ページ中央、地獄の役人の台詞】 「このように道具が損なわれては、地獄も困窮いたします。これにつけても地獄も金次第だ。大変、大磯の地蔵様のお世話になりました。」 【右ページ左端、鬼の台詞】 「芳香の強いものは、すぐに極楽へ送られるでしょう。」

英語訳

All the implements of hell have been completed and are being transported by the fire cart. 【Dialogue of the demon pulling the cart】 "Unlike pulling sinners, pulling equipment is light work. I'm impressed by the porters. Well, well, it's been done efficiently. First, let's boil water with this cauldron." 【Upper left page】 Enma and Jizo rejoice. 【Jizo's dialogue】 "With new equipment, the manner of boiling sinners will be different." 【Center left page, dialogue of hell official】 "When equipment is damaged like this, hell also faces hardship. This shows that even hell depends on money. We are greatly indebted to the Jizo of Oiso." 【Far right page, demon's dialogue】 "Those with strong fragrance will be sent immediately to paradise."