翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

大磯地蔵咄 2巻 - 翻刻

大磯地蔵咄 2巻 - ページ 6

ページ: 6

翻刻

むじなとらが いしに ばける 【右端の旅人の台詞】 とらか石ではない ばけ物だ にげよ〳〵 とらの いしでは なふ て どら のいし【どらのいし:不明】 にもつが みへ ぬ【荷物が見えぬ=荷物がなくなった】 にけるとしたり大いそが           しい 【右下で狢がばけた石を持とうとしている男】 どうやら むく  〳〵 す る ぞ 大いその とらが【虎御前が】 石になつたと いふ事だ やわ〳〵として てざわりが もの〳〵しいか おもひぞ    〳〵 いつはい み?めた こいつは かつこう ばかりて あげる事は か?し  めか?にて     も なるまい 【狐の台詞】 まつ【まづ】 してやつた でつしりと した さい ふの 【虎が石:全国にいくつかの虎が石があるが、曽我兄弟が仇討ちに行ってしまい、虎御前が十郎への思いから石になったものなど、曽我兄弟にまつわる伝説が多い。東海道では大磯と足柄峠の虎が石が有名。大磯のものは美女が持ち上げると軽いが、男が持つと重くて持ち上がらないと言われている。】 【左ページ】 たぬききん た まお のば し 馬人 共に おどす 【狸の台詞】 まづ ふる しき つゝみ おと らふ【まづふろしき包みを盗ろう】 【馬子の台詞】 馬がだい じた ふま れて もよい きつ う な ま ぐさ きに おい かな【きつう生臭き匂いかな】 酒てん とうし【酒呑童子】 の おにの てる そう な 是は まさしくたつか【竜が】    まきあげるそうな

現代語訳

【右ページ】 狢が虎が石に化ける。 【右端の旅人の台詞】 「虎か石ではない、化け物だ。逃げよう逃げよう」 「虎の石ではなくて、どらの石(意味不明)。荷物が見えぬ(荷物がなくなった)。逃げるとしたり、大磯が恋しい」 【右下で狢が化けた石を持とうとしている男】 「どうやらむくむくするぞ。大磯の虎御前が石になったということだ。やわやわとして手触りがもの物しいか、思い思い」 「いっぱい見詰めた。こいつは格好ばかりで、上げることはかしめ(?)でもなるまい」 【狐の台詞】 「まず、してやった。でっしりとした財布の(中身を奪った)」 【左ページ】 狸が金玉を伸ばして馬と人ともに脅す。 【狸の台詞】 「まず風呂敷包みを盗ろう」 【馬子の台詞】 「馬が大事だ。踏まれてもよい。きつう生臭き匂いかな。酒呑童子の鬼の照るそうな。これはまさしく竜が巻き上げるそうな」

英語訳

【Right Page】 The badger transforms into the Tiger Stone. 【Traveler at the right edge's dialogue】 "This is neither tiger nor stone, it's a monster! Let's run, let's run!" "It's not the Tiger Stone but a 'dora stone' (meaning unclear). The luggage has disappeared. We should flee - how I long for Ōiso." 【Man trying to lift the stone that the badger transformed into】 "Somehow it's moving restlessly. They say this is the Tiger Stone where Lady Tora became stone. It's soft to the touch and feels mysterious, each thinking their own thoughts." "I've stared at it intently. This thing is all appearance - it probably can't be lifted by any means." 【Fox's dialogue】 "First, we did it! (Got money from) a well-stuffed purse." 【Left Page】 A raccoon dog stretches its testicles to frighten both horse and person. 【Raccoon Dog's dialogue】 "First, let's steal the furoshiki bundle." 【Horse driver's dialogue】 "The horse is precious. Even if trampled, it's fine. What an intensely foul smell this is! Like the demons of Shuten-dōji glaring. This must surely be like a dragon rising up."