翻刻
かし
のある
とう人
みそか
にかけを
とりに
きたりし
が大の
つうとう
じんにて
おふかたていしゆ
がるす
をつかう
だろふと
おもつて
そと□□【から】かみ
さんごていしゆは
るすだあろふと
いゝければかゝあもうそは
ないよといわんとせしが
むかふからあなをい□【わ】れて
あいといふもふつう□【と】
おもいアイ
マア
るすの
よふなもんだけれど
そこはそれおまへも
よしかうんといゝなよ
それよしか〳〵と
いゝければかけとり
もおつとがつてん
よしさ〳〵
といつて
かへるはつうじんの
みよにきわまり
ぬいた
【台詞】
あんまり
つうなもばから
しいもんだあいつには
いかい事かり□【が】ある
に
このかへりにこめやの
とわりもいつて【?】
やろうか
現代語訳
貸しのある唐人が、みそかに掛け取りに来たりしが、大の通唐人にて、「おそらく亭主が留守を使うだろう」と思って、そとから「神さん、ご亭主は留守だろう」と言えば、かかあも「嘘はないよ」と言わんとしたが、向こうから穴を言われて「はい」と言うのも不通だと思い、「はい、まあ留守のようなものだけれど、そこはそれ、おまえもよしかうんと言いなよ」
それを「よしか、よしか」と言えば、掛け取りも「おっと、がってん。よしさ、よしさ」と言って帰るのは、通人の身によく似合った抜けた話だ。
【台詞】
「あんまり通なのもばからしいもんだ。あいつにはいかい貸しがあるのに」
「この帰りに米屋の取り立ても行ってやろうか」
英語訳
A Chinese creditor who was owed money came secretly to collect debts, but being a great connoisseur Chinese, he thought "Probably the master will pretend to be away," so from outside he called "Ma'am, is your master away?" The wife was about to say "That's not true," but thinking it would be "un-connoisseur-like" to respond directly to his pointed question, she said "Yes, well, he's something like away, but you know, you should also say 'yoshikauun.'"
When she said "yoshika, yoshika," the debt collector also said "Oh, I understand. Yoshisa, yoshisa" and returned home—this is a foolish story well-suited to the connoisseur lifestyle.
[Dialogue]
"Being too much of a connoisseur is also foolish. He owes me a considerable debt."
"On my way back, should I also go collect from the rice shop?"