翻刻!地震・災害史料

コレクション: 暫定コレクション

信州大地震并異國舩到来写 - 翻刻

信州大地震并異國舩到来写 - ページ 23

ページ: 23

翻刻

寂莫として空船に似たり未審なから棹を転し 纜を繋き敵船へ乗かゆれは枕ならへて討死をし 砲玉に当り着せし六具も色わからす悉烟にむせ血に 染り死る者七百七拾有余人未た保命之者拾七人 内五人有にいつれも浅手に候得と疵を蒙り必死の体 是を見るより捽者共寄合へし合日の本の神感 を顕わし取囲み手取り足とりこれはといふ間に 猿轡をはめ壱士も不残生捕にして猶見廻り改し 候処鉢に捥たる一株ありみ木枯たる如にて葉縁 蘿に似たり一輪の紅花を以梅桜を欺くほどの奇 花なり是に愛れ手に配れは忽人色を失ひ又は 惣身痿れ候ものも有時の軍艦丈ケ拾有六間余 幅八九間余にて五階に出来陣営にひとしの者候得と 時烏の砲玉に船底打破数ケ所より水込入て鶏百疋 余も焼失候迄人骸と■も船水にひたしたれは壱人も 眼を開き見るものもなし都て始末も出来捕子【=捕虜】之 もの召連帰櫓之上先陣より段々東陣へ召通之白洲 に於て厳命之下し相糺候処イギリスの軍艦にて クハラより加勢を調し最初六艘示し合ロントンの都出 帆鬼界九島を左右に眺め日ならすして日本に入 今日の猶予もあらば珍奇を捧げ米穀古銅諸 色交易を乞御承諾もあらば面目限りなく自然