東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

究理知慧の勧 : 訓蒙画入 巻之1 - 翻刻

究理知慧の勧 : 訓蒙画入 巻之1 - ページ 13

ページ: 13

翻刻

【右頁】 霰(あられ)を雹(へう)といふ此(この)霰(あられ)は寒中(かんちう)より却(かへつ)て夏(なつ)の方(かた) 多(おほ)き訳(わけ)は夏(なつ)は空中(くうちう)に越歴(ゑれき)を起(おこ)すこと多(おほ)く して空中(くうちう)殊(こと)に厳寒(げんかん)を生(しやう)ずること冬(ふゆ)より多(おほ) きに由(よ)る若(も)し水氣(すゐき)極髙(ごくたか)く騰(のぼ)り化(くわ)して雨(あめ)と なりて降る途中(とちう)此(この)厳寒(げんかん)に逢(あ)へば則(すなは)ち氷(こほ)る 斯(か)空中(くうちう)に暖(あたゝか)なる処(ところ)と厳寒(げんかん)の処(ところ)とある故(ゆへ)霰(あられ) の降(ふ)る時(とき)は一時(いちじ)大風(たいふう)を起(おこ)し或(あるひ)は雷雨(らいう)の変(へん)  をあらはし空中(くうちう)常(つね)ならざるものなり 【左頁】    ◯火山(くわさん)の叓 日本(につぽん)の淺間嶽(あさまがだけ)伊豆大嶋(いづのおほしま)の如(ごと)き烟(けむり)を噴出(はきいだ)す 山(やま)世界中(せかいじう)に三百余(さんびやくよ)もあり之(これ)を火山(くわざん)といふ これは山中(さんちう)の石(いし)と石(いし)との空隙(あひだ)に多(おほ)く硫黄(いわう) 水素(すゐそ)温素(おんそ)抔(など)といふ氣(き)を含(ふく)みし處(ところ)稀(まれ)に破烈(はれつ) して孔(あな)を生(しやう)じ空中(くうちう)に在(あ)る酸素(さんそ)といふ燃(もゆ)る 氣(き)に觸合(ふれあひ)て火(ひ)を発し烟(けむり)は升(のぼ)りて天(てん)を衝(つ)き 其状(そのさま)実(じつ)に恐(おそ)るべく或は焼石灰(やけいしはい)の類(るゐ)を投出(なげいだ) 

現代語訳

【右頁】 霰を雹という。この霰は寒中よりもかえって夏の方が多い理由は、夏は空中に電気を起こすことが多く、空中が特に極寒となることが冬より多いことによる。もし水気が極めて高く上昇して雨となって降る途中、この極寒に遭えばすなわち氷る。このように空中に暖かい所と極寒の所とがあるため、霰の降る時は一時大風を起こし、あるいは雷雨の変化を現し、空中が異常な状態となるものである。 【左頁】    ○火山について 日本の浅間岳、伊豆大島のような煙を噴出する山は世界中に三百余もあり、これを火山という。これは山中の石と石との隙間に多く硫黄、水素、酸素などという気体を含んだ所が稀に破裂して孔を生じ、空中にある酸素という燃える気体に触れ合って火を発し、煙は上昇して天を衝き、その様子は実に恐ろしく、あるいは焼石灰の類を投げ出す

英語訳

【Right page】 Hail is called "hyō" (large hail). The reason why hail occurs more frequently in summer rather than in the cold season is that in summer, electricity is generated more often in the air, and extremely cold conditions occur in the atmosphere more frequently than in winter. If water vapor rises extremely high and becomes rain, but encounters this extreme cold during its descent, it freezes. Since there are both warm and extremely cold areas in the atmosphere, when hail falls, it temporarily creates strong winds or manifests changes like thunderstorms, making the atmospheric conditions abnormal. 【Left page】   ○ On Volcanoes Mountains that emit smoke, such as Japan's Mount Asama and Izu Oshima, number over three hundred worldwide, and these are called volcanoes. These occur when the gaps between rocks in the mountains contain large amounts of gases such as sulfur, hydrogen, and oxygen, which rarely rupture to create holes, and when they come into contact with oxygen (a combustible gas) in the air, they ignite and emit smoke that rises to strike the heavens. The sight is truly terrifying, and they sometimes eject materials like quicklime.