翻刻
【右頁】
火(火)と熱(ねつ)とを發(はつ)するものなり此(この)越歴(ゑれき)と云(いふ)は
萬物(ばんぶつ)に具(そな)わりたる一 種(しゆ)の氣(き)にて其(その)陽(やう)の氣
と陰(いん)の気と相(あひ)
觸(ふる)れば感(かん)じて
火(ひ)を発(だ)し熱(ねつ)を
起(おこ)す例(たと)へば暗(くら)
き所(ところ)にて猫(ねこ)の
脊(せ)を強(つよ)く數(たび)囘
【左頁】
逆(さか)さに磨擦(こす)りなばぴか〳〵火(ひ)の出(いつ)るを見(み)る
べし是(これ)則(すなは)ち越歴(ゑれき)の火(ひ)なり雷火(かみなりひ)にて物の燃(も)
ゆるはすなはち越歴熱(ゑれきねつ)の一例(いちれい)なり
第四 肉身熱(にくしんねつ)とは人(にん)畜(ちく)魚(ぎよ)虫(ちう)等(とう)萬物(ばんぶつ)固有(もちまへ)の血(ち)
熱(ねつ)にて大陽(たいやう)の温氣や火の温(おん)をからずとも
自(みつか)らもちまへの温氣(うんき)有もの也 然(しか)れ共(ども)其 㔟(いきほ)
ひに限(かき)りあり其 性(せい)光(ひかり)なし◯此 地球(ちきう)にて固(もち)
有(まへ)の温(おん)ありて他(た)の熱(ねつ)をからずとも自(みづか)ら暖(あたゝか)
現代語訳
【右頁】
火と熱とを発するものである。この電気というのは万物に備わっている一種の気であり、その陽の気と陰の気とが相互に触れ合えば感応して火を発し熱を起こす。例えば暗い所で猫の背を強く何度も
【左頁】
逆さに摩擦すればピカピカと火の出るのを見ることができる。これがすなわち電気の火である。雷火で物が燃えるのは、すなわち電気熱の一例である。
第四 生体熱とは人間、動物、魚、虫等の万物が本来持っている血熱であり、太陽の温気や火の温かさを借りなくても、自ら本来の温気を有するものである。しかしながらその勢いには限りがあり、その性質は光を持たない。○この地球には固有の温かさがあって、他の熱を借りなくても自ら暖かい
英語訳
【Right page】
It generates fire and heat. This electricity is a type of energy inherent in all things, and when its positive energy and negative energy come into contact with each other, they respond and produce fire and generate heat. For example, in a dark place, if you rub a cat's back strongly several times
【Left page】
in reverse, you will see sparks appear. This is precisely electrical fire. When objects burn from lightning fire, this is an example of electrical heat.
Fourth: Body heat refers to the blood heat inherent in all living things such as humans, animals, fish, insects, etc. Even without borrowing the warmth of the sun or fire, they naturally possess their own warmth. However, this force has limits, and its nature produces no light. ○The Earth has its own inherent warmth and is naturally warm without borrowing heat from other sources