翻刻
【右丁】
ゆらのとをわたる舟人 恋の
かぢをたえ行へもしらぬ みちかな
これも恋の哥なりゆらのみなとてのり
わたる舟人が楫を 曽
ていつくの浦もよりつきがたく何 根
処へ行ことかゆくさきもしられぬやう
にゆきどまりのはてもなきものは
人を恋しうおもふふこゝろぞと也ゆくへも
しらぬといふより道とかけていへる
にて 恋の心をいふのみ 好
ゆらのとゝいふ港は紀伊国と丹後国 忠
二所あり是は丹後のなるべし
【左丁】
八重葎 しげれる宿の淋しきに
人こそみえね秋は来にけり
宿に秋来るといふ題にて
むくらが 恵慶
しげりて行くかふ
人も あれはてゝさひ
しとき宿には する人秋こそ
みえねが 秋 来た
と也
しげるもの 八重とは
にあらず 法
がうへにいくつもかさなるを 師
いふなり