翻刻
【右丁】
夜を 鳥の よに逢坂の
こめて そらねは 関は
はかるとも ゆるさじ
大納言行成卿ある時清少納言のもとへゆきて物語な
どして■■■ころに大内へ参ることありとていそぎ 清少
給て翌朝清少のかたへよべは庭鳥のこゑにさい 納言
そくせられて■■■■帰りしとたはぶれにいいやり給ひ
けるに清少よりまだ明がたにもならぬさきに鳴ました
にわとりはかのもろこしの函谷関のことでありますか
とこたへありければ行成卿よりお■かへして函谷関
のこと■■■逢坂の関のこと也
と■■■■■■■■■■■■■■■■■■むかし
■■■孟嘗君といふ人が■るさには鳥のう
そなき■■■■■函谷関のといふ関をはたばかりて
■■■■■■■■■■■庭鳥のまねをしてたばか
りなさるとも■と■のあふ中の関はかてん
いたるまいと也函谷関のことはことながければしるさず
【左丁】
今はたゞ とばかりを いふよし
おもひ 人伝 も
たえなむ ならで がな
これはある姫宮にしのびてかよひ
給ひけるを上にもきこしめしてその 左京
姫宮に人を■■■て給ひければ
しのびて逢給ふこともかなはずなりて 太夫
読み給ひし哥也心はかやうにむづかしく
なりてとても是までのやうにあひける
事はならねばせめての事に今一度あ
ひてもう一向にさつはりと思ひきら 道
うといふことゞもなりとも人伝でに
直にいふやうなしかたもあれかしと也 雅