翻刻
【右丁】
しんだいに
ふそくも
なければ
いのちの事を
あんじ
このころは
ふら〳〵と
わづらい
女ほう【女房】も
こゝろならず
おいしや
さまをよび
さとの
おやじにも
はなしければ
あんじて
来り
さて〳〵
こなたは
らつちもない
よくきかしやれや勘平とのは三十にと
いふが勘平どのゝふたりまへまだ
いくつまでゝもいきよふもしれず
なかいきばかりしてもわづらつては
いかぬわしがこれ八十になるがあわびが
いけるたこかくへるたくあんづけの
ほか〳〵には
わかいものか
やかましがる
めがねがいらず
つへつかず【杖突かず】
そくさいなれば
子共のせわにも
ならず
ひやうしん【病身?】では
おもしろい事も
おかしい事もなし
はて人は
とかくものを
くろふ【苦労】にするがどく
もふきさまたちの
としでさつさおせ〳〵と
いふてもきつかい【気遣い】はない
かならず〳〵
きをわさ〳〵と
もたつ
しやれと
すゝめる
【イ】
わしが
よふな
もの
ばかり
では
□□はくさま【げんはくさま=杉田玄白をもじっている?】
おまへがたは
おひ□【ま?】じや
【ロ】
いや此間は
しやう〳〵
ひまに
いたし
たい