翻刻
へきや夕には花の林に遊ふか如く歓楽を
恣にし数万のともし火白昼を欺き群交
所せましと市中に衆?満し毒龍鬼神と
いへともなとか笑を含さらんや満足栄花を
眼たゝくまにくつかへし或は倒れ或は
潰れ夫妻兄弟父母子孫圧死するあり
焼死あり枕を並へ数万の人〳〵夢中の
夢のはかなき最期拙き筆にはしるし
かたし中には五十里百里を隔て十人連立
二十人うち連立て参詣し我等一人残りし
とてさだめて指折日をかそへ国にて親
族待居給ひけふや帰る翌や機嫌よく
帰るへしと親を待子を待事我か身の
うへに引くらべさこそとおもひあはするを
今われ一人助かりしとて何面目に帰
国して斯とて是を告知らすへき去迚
我身覚語【悟ノ誤字カ】を極め今爰に自害せは
誰ありてか国にしらすへきとて身を
なけふして心苦の歎きいふも語るもまる
はだか徐く助り危を遁れいでたる事